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■損害賠償措置の備えの義務付け
法律により,遊漁船の利用者の生命又は身体について損害が生じ,その被害者に対してその損害の賠償を行うべき場合に備えてとるべき措置を取らなければならないとされており,利用者に生じた損害を賠償するための備えをしなければ遊漁船業の登録ができません。
乗客損害賠償保険(保険契約額が乗客定員1人あたリ5千万円以上)に加入が必要です。
これにより,利用者に不足の自体が発生した際に,その損害を担保することができます。また,事業者自身を守ることにも繋がります。
■業務規程作成の義務付け
法第四条 前条第一項の登録(同条第二項の登録の更新を含む。以下「登録」という。)を受けようとする者は、次に掲げる事項を記載した申請書を都道府県知事に提出しなければならない。
以下略
第二項 前項の申請書には、次に掲げる書類を添付しなければならない。
一 略
二 遊漁船業の実施に関する規程(以下「業務規程」という。)以下略
第三項 業務規程には、利用者の安全管理に係る体制、業務の適正な運営を図るための従業者に対する教育の実施に関する事項その他の利用者の安全の確保及び利益の保護並びに漁場の安定的な利用関係の確保に関する農林水産省令で定める事項を定めなければならない。
★解説
利用者の安全の確保,利益の保護及び漁場の安定的刹用の確保に関する事項を定める業務規程を作成し,都道府県知事に遊漁船登録の申請の際に提出しなければなりません。
業務規程の記載事項 |
① 利用者の安全管理に係る体制に関する次に掲げる事項 イ 遊漁船業の実施体制に関する事項 ロ 遊漁船の船長、遊漁船業務主任者その他の利用者の安全に関する業務に従事する者(以下「船長等」という。)の確保に関する事項 ハ 案内する漁場の位置(利用者を特定の場所に下船させて水産動植物を採捕させる場合(以下「瀬渡しを行う場合」という。)にあっては、当該特定の場所の利用定員及び当該漁場における安全管理に関する事項 ※利用定員=利用者を特定の場所に下船させた後、異なる利用者に遊漁船において水産動植物を採捕させる場合にあっては、当該特定の場所の利用定員に遊漁船の定員(船舶検査証書記載の「最大搭載人員」のうち旅客に係るものをいう。)を加えたもの。 ニ 遊漁船の係留場所に関する事項 ホ 遊漁船の総トン数、長さ、定員、航行区域、通信設備及び救命設備に関する事項 ヘ 役務の内容に関する事項 ト 船外への転落に備えるために利用者に救命胴衣を着用させること、出航前に行う遊漁船が航海に支障ないかどうかその他航海に必要な準備が整っているかいないかの検査、適切な見張りその他利用者の安全を確保するために必要な措置(責任者の選任その他これらの措置を的確に実施するために必要な体制の整備を含む。)に関する事項 チ 出航中止条件及び出航中止の指示に関する事項 リ 気象若しくは海象の状況が悪化した場合又は海難その他の異常の事態が発生した場合における対処の方法、海上保安機関その他関係機関との連絡に係る責任者(遊漁船に乗り組んでいない者に限る。以下「連絡責任者」という。)の選任その他これらの場合において利用者の安全を確保するために必要な体制に関する事項 ② 業務の適正な運営を図るための従業者に対する教育の実施に関する事項 ③ 前二号に掲げるもののほか、遊漁船業の実施に関し必要な次に掲げる事項 イ 利用者の安全の確保及び利益の保護並びに漁場の安定的な利用関係の確保のため必要な情報の収集及び伝達に関する事項 ロ 利用者が遵守すべき事項の周知に関する事項 ハ 利用者の安全及び利益に関する情報の公表に関する事項 ニ 漁場の適正な利用に関する事項 ホ 遊漁船業の実施に関し作成された記録の保存期間その他保存に関する事項 ヘ その他遊漁船業の実施に関し必要な事項 |
■遊漁船業務主任者の選任
法第十二条 遊漁船業者は,遊漁船における利用者の安全の確保及び利益の保護並びに漁場の安定的な利用関係の確保に関する業務を行う者で農林水産省令で定める基準に適合するもの(以下「遊漁船業務主任者」という。)を選任して,遊漁船における利用者の安全管理その他の農林水産省令で定める業務を行わせなければならない。
★解説
遊漁船業主任者とは,利用客のために,安全でまた,漁場での適正な釣り等を行うことができるよう,例えば,自己が発生したときの対処,釣り場の選定についての指導・助言等の職務を行う者です。利用者が安全に水産動植物の採捕するたるために遊漁船業務主任者の選任をしなければなりません。
遊漁船業務主任者は以下の要件を満たす必要があります。
遊漁船業務主任者の要件 |
① 海技士(航海)又は旧4級以上の小型船舶操縦士の資格を持つこと ② 遊漁船業に関して1年以上の実務経験を有すること,又は遊漁船業務主任者のもとで30日間(1日につき5時間以上)以上 の実務研修を修了していること ③ 遊漁船業務主任者講習会を受講し,5年以上経過していないこと ④ 遊漁船業務主任者を解任され,解任の日から5年を経過しない者 ④ 登録の拒否事由に該当しないこと |
■気象情報の収集
法第十四条 遊漁船業者は,遊漁船の出航前に,利用者の安全を確保するため必要な気象及び海象に関する情報を収集しなければならない。
2 遊漁船業者は,前項の情報から判断して利用者の安全の確保が困難であると認めるときは,遊漁船を出航させてはならない。
■利用者名簿の備え置き
法第十五条 遊漁船業者は,農林水産省令で定めるところにより,営業所ごとに,利用者名簿を備え置き,これに利用者の氏名,住所その他農林水産省令で定める事項を記載しなければならない。
★解説
利用者名簿は,遊漁船業者が利用者を漁場に案内する場合において,利用者の遊漁船の利用の開始前までに備え置くとともに,当該利用の終了の日から1週間保存しなければならなりません。
利用者名簿の記載事項はつぎのとおりです。
利用者名簿の記載事項 |
① 氏名 ② 住所 ③ 性別 ④ 年令 ⑤ 遊漁船の利用の開始年月日時及び終了予定の年月日時 ⑥ 案内する漁場の位置 ⑦ 緊急時における連絡先(自宅や家族等の連絡先) |
利用者名簿の記載を省略することは許されませんのでご注意ください。 ※「山田太郎その他4名」といったような記載方法はNGです。 |
利用者名簿については,それぞれ個人情報保護方針(プライバシーポリシー)を定めるなどして,その運用・管理について十分気をつける必要があります。 これらの情報が漏れるということは,信用を失うだけでは足りず,民事上,損害賠償責任を負う等のリスクがあることも十分に検討しなければなりません。 (民法第709条:不法行為に基づく損害賠償請求) 経済産業省のガイドラインで,プライバシーポリシー「個人情報保護に関する考え方や方針に関する宣言」を作成し,ホームページへの掲載等により公表することが望ましいとされています。 プライバシーポリシーについては,法律(個人情報保護法)の要求事項から記載していくことになりますので,専門的な知識がどうしても必要になります。 当事務所では,個人情報保護法の専門家である資格者の個人情報保護士が 御社の業種・事業活動に沿った最も適切な個人情報保護方針を提案します。 |
■水産物の採捕に関する規制の周知の義務付け
法第十六条 遊漁船業者は,農林水産省令で定めるところにより,利用者に対し,その案内する漁場における水産動植物の採捕に関する制限又は禁止及び漁場の使用に関する制限の内容を周知させなければならない。
★解説
遊漁船業者と漁業者の間に,漁業利用や資源利用をめぐってトラブルが生ずることもあり,問題視されています。そこで,遊漁船業者は案内する漁場における規制の内容を遊漁船利用者に対し周知しなければなりません。
遊漁船利用者への周知の方法 |
利用者に水産動植物を採捕させる前に,その案内する漁場における水産動植物の採捕に関する制限又は禁止及び漁場の使用に関する制限の内容を遊漁船において利用者に見やすいように掲示し,又はその内容を記載した書面を利用者に配布し,その内容を周知させなければならないとされています。 |
■標識掲示の義務付け(令和6年改正)
法第十七条 遊漁船業者は、農林水産省令で定める様式の標識について、営業所及び遊漁船ごとに公衆の見やすい場所に掲示するとともに、その事業の規模が著しく小さい場合その他の農林水産省令で定める場合を除き、農林水産省令で定めるところにより、電気通信回線に接続して行う自動公衆送信(公衆によつて直接受信されることを目的として公衆からの求めに応じ自動的に送信を行うことをいい、放送又は有線放送に該当するものを除く。次項において同じ。)により公衆の閲覧に供しなければならない。
2 遊漁船業者以外の者は、前項の標識又はこれに類似する標識を掲示し、又は電気通信回線に接続して行う自動公衆送信により公衆の閲覧に供してはならない。
★解説
本法律が規定している「登録制度」が適正に機能するよう,遊漁船業登録をした業者はそれぞれ使用する船舶と営業所の見やすいところへ標識を掲示しなければなりません。
加えて、ホームページへ掲載義務ができました。
※事業規模が小さく(事業主(兼船長&主任者と連絡責任者の2人しかいないようなケース))、または、ホームページを持っていない場合を除く。
■名義使用の禁止
法第十八条 遊漁船業者は,その名義を他人に遊漁船業のため利用させてはならない。
2 遊漁船業者は,事業の貸渡しその他いかなる方法をもつてするかを問わず,遊漁船業を他人にその名において経営させてはならない。
遊漁船業の適正化に関する法律第14条 |
遊漁船業者は,遊漁船の出航前に,利用者の安全を確保するため必要な気象及び海象に関する情報を収集しなければならない。 2 遊漁船業者は,前項の情報から判断して利用者の安全の確保が困難であると認めるときは,遊漁船を出航させてはならない。 |
省令第9条(抜粋) |
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業務規程においても,利用者の安全の確保に関する内容を記載しなければなりません。内容としては,概ね次のとおりです。
◆小型船舶操縦士制度について
エンジンなどの付いた長さ24メートル未満,又は総トン数20トン未満の船舶を運転するためには必要な免許です。正式には小型船舶操縦免許と言います。
尚,エンジンやモーターが搭載されていても,長さが3メートル未満で,推進期間の出力が1.5KW未満の船舶は免許が要りません。
◆小型船舶操縦免許証の更新
ボート免許・水上オートバイ免許(小型船舶操縦免許証)には,5年という有効期限があり,5年毎に更新する必要があります。更新手続は,有効期限の1年前から行うことができます。
◆小型船舶操縦免許証の失効再交付
免許証の有効期限が切れてしまっても,自動車の運転免許などと違って,ほったらかしていたら失効してしまい,また高いお金を払って教習所に通ったり試験を受けたりして免許を取らなければならないというわけではありません。このような場合は,失効再交付講習を受講して,操縦免許証の再交付を受けることで再びボートを運転することができます。
◆ボート免許の再交付・紛失・毀損・訂正
★ 小型船舶操縦免許証の紛失再交付・毀損による再交付・訂正申請手続き
免許証を無くしたり,き損させて写真や記載事項がわからなくなってしまった場合には,遅滞なく,免許証の再交付申請を,あるいは,操縦免許証に記載された住所,本籍の都道府県,氏名等に変更が生じたときは,遅滞なく,登録事項の訂正申請を行う必要があります。
◆特定小型船舶操縦免許
特定操縦免許とは,平成15年6月1日以降,新規の小型船舶操縦士免許(ボート免許)を取得され,旅客船や 遊漁船など人の運送をする小型船舶(ボート)の船長になろうとする方は,該当する小型船舶操縦士免許(ボート免許) の他に必要になる資格です。
特定操縦免許を取得するには,海難発生時における措置・救命設備の取扱等に関する「小型旅客安全講習」を受講する必要があります。
尚,平成15年5月31日以前に小型船舶操縦士を取得・合格された方は,特定操縦免許も取得済みとなるため,小型旅客安全講習を受講する必要はありません。
◆船長の遵守事項と罰則について
平成15年の法改正によってボート免許の法律が変わりました。
まず第一に,ボート免許を管轄する法律の名称が「船舶職員法」から「船舶職員及び小型船舶操縦者法」に変わり,同法23条36項にて,【小型船舶操縦者の遵守事項】が追加されました。
遵守事項については以下のとおりです。
小型船舶操縦士資格者が同法で定められた上記「小型船舶操縦者の遵守事項」に違反し,その違反内容や回数が一定の基準に達した時は「操縦免許の停止」や「戒告処分」などの行政処分を受ける事があります。
ただし 遵守事項に関する講習(再教育講習)を受講したときは行政処分が免除または軽減されます。
違反行為の内容 | 違反点数 | 死傷事故を伴う場合 |
酒酔い等操縦・自己操縦義務・危険操縦 | 3点 | 6点 |
救命胴衣等着用 | 2点 | 5点 |
過去3年以内の行政処分 | 当該違反+過去1年聞の累和点数 |
有り | 3点 |
無し | 5点 |
船舶検査について
船舶は,水上において常に気象・海象に基づく危険な状態に晒されています。そのため,船舶には航海上生ずべき危険に堪え,安全に航行し得るための施設が必要であるとともに,人命の安全を保持するための施設を備えることが必要とされています(船舶安全法第1条)。
そのため,一定基準に達しているかを検査があります。これが船舶検査(船検)になります。遊漁船も通常のプレジャーモーターボートと同様に,船舶安全法で定められた構造,設備等の安全基準を満たしていなければなりません。
自動車やオートバイ(原付を除く)にも,いわゆる車検というのが定期にありますね。簡単に言えば,それの船ヴァージョンだと思って頂いて結構です。
検査は総トン数が20トン以上の船舶は国が行い,20トン未満の小型の船舶については原則として国の代りに小型船舶検査機構(JCI)が検査を実施しています。
船舶検査の種類と時期
船舶検査には,以下の種類があります
① 定期検査
初めて船舶を航行させる時又は船舶検査証書の有効期間が満了した時に受ける精密な検査
② 中間検査
定期検査と定期検査との間に受ける簡単な検査で船舶の用途等により実施時期が異なる。
③ 臨時検査
改造,修理又は設備の新替え等を行ったときに受ける検査
④ 臨時航行検査
船舶検査証書の交付を受けていない船舶を臨時に航行させるときに受ける検査
⑤ 製造検査
長さ30m以上の船舶であって船体,機関及び排水設備並びに満載喫水線に関する構造,設備について,船舶の製造に着手したときからその工程に応じて行われる検査
⑥ その他の検査(予備検査・検定)
船舶検査にかかる時間を短くし,また内容を簡略化するため,前もってそれぞれのメーカーの製造段階で検査を受けることのできる,予備検査・検定の制度があります。
定期検査・中間検査
定期検査に合格した小型船舶には,船舶検査証書,船舶検査手帳,小型船舶には船舶検査済票が交付されます。さらに中間検査に合格したときには,次回検査時期指定票が交付されます。
★ 一般の小型船舶(旅客船以外)
★ 総トン数5トン未満の旅客船(旅客定員13人以上)
★ 総トン数5トン以上の旅客船は,5年毎の定期検査・毎年の中間検査になります。
上記船舶検査同様,定期検査には3ヶ月,中間検査には6ヶ月の受検期間があります。
臨時検査・臨時航行検査
① 臨時検査
★ 以下のような修理・取替え・改造などを行うとき
★ 航行区域,最大搭載人員等船舶検査証に記載された航行上の条件を変更するとき。
★ 船舶検査手帳に指定された臨時検査の時期の到来
② 臨時航行検査
総トン数20トン未満の小型船舶検査は,日本小型船舶検査機構の支部ごとに定めた巡回日程表に基づいて,地区ごとに出張する日を定め,漁港や船溜まりなど保管・係留場所を巡回拠点として出張検査を実施しています。
尚,自宅保管の小型船舶の場合は,検査場又は巡回拠点としている漁港など支部の指定場所での受検になります。
★ 検査時には以下のものを用意しておきます。
★ 法定備品についてはコチラをご覧下さい。
★ 小型船舶に搭載する無線設備(搭載要件の一例)
(JCIより)
尚,主な法定備品は,次のとおりです(限定沿海で,総トン数が5トン未満の船舶)。
小型船舶用究明浮環 | 小型船舶用救命胴衣 | 小型船舶用信号紅炎 |
小型船舶用消火器 | 赤バケツ・工具 | いかりとロープ |
★ 船舶検査を受ける前に法定備品等の点検(特に下記のA~E),船体の点検,エンジンの整備をしておきます。
最大搭載人員について
船舶には大きさに応じて,乗船できる人数が決まっています。これを定員と言います。
最大搭載人員とは,船舶検査証書記載の【旅客】,【船員】,【その他の乗船者】の区分毎の人数及びその合計数です。
これは,船舶の大きさや重心の高さ,船の復原力,居住設備等に基づいて算定されます。 最大搭載人員は製造時の算定で定められていますので,船舶検査の際,一般的には算定の作業はありません
尚,最大搭載人員超過は罰せられます。
⇒1年以下の懲役または50万円以下の罰金
※子どもについては特例があります。
12歳未満の子どもは,2人で大人1人に換算します。1歳未満は算入しません。
航行区域について
• 平水区域:河川,湖沼や港内,湾内など法律で定められた51箇所の水域
• 限定沿海:陸岸から20海里以内の水域の一部に限定した航行区域
• 沿海区域:陸岸から20海里以内の水域
• 近海区域:東経175°,東経94°,北緯63°,南緯11°の線で囲まれた水域
• 遠洋区域:全ての水域
なお,小型船舶の場合,これら航行区域のうち沿海区域の一部に限定した航行区域「限定沿海」が多く指定されています。
「船の長さ」・「船の深さ」について
船の長さとは,小型船舶の検査手数料の算定や技術基準の適用の基礎となるものです。垂線間(すいせんかん)の長さが船の大きさや性能を表わすために最もよく使われます。
尚,船の全体の長さのことは「全長」と言います。
船の深さとは,竜骨の上面から,船側の上甲板の下面までの距離をいいます。
遊漁船業の登録を検討されている方は,小型船舶操縦免許をお持ちだと思いますが,基本的な航法のルールを把握していることは必要不可欠になります。
海上衝突予防法 | |
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第一条 海上における衝突の予防のための国際規則に関する条約に添付されている千九百七十二年の海上における衝突の予防のための国際規則の規定に準拠して,船舶の遵守すべき航法,表示すべき灯火及び形象物並びに行うべき信号に関し必要な事項を定めることにより,海上における船舶の衝突を予防し,もつて船舶交通の安全を図ることを目的とする。 | |
見張り第五条 |
船舶は,周囲の状況及び他の船舶との衝突のおそれについて十分に判断することができるように,視覚,聴覚及びその時の状況に適した他のすべての手段により,常時適切な見張りをしなければならない。 |
安全な速力 第六条 |
船舶は,他の船舶との衝突を避けるための適切かつ有効な動作をとること又はその時の状況に適した距離で停止することができるように,常時安全な速力で航行しなければならない。この場合において,その速力の決定に当たつては,特に次に掲げる事項(レーダーを使用していない船舶にあつては,第一号から第六号までに掲げる事項)を考慮しなければならない。 |
一 視界の状態 二 船舶交通のふくそうの状況 三 自船の停止距離,旋回性能その他の操縦性能 四 夜間における陸岸の灯火,自船の灯火の反射等による灯光の存在 五 風,海面及び海潮流の状態並びに航路障害物に接近した状態 六 自船の喫水と水深との関係 七 自船のレーダーの特性,性能及び探知能力の限界 八 使用しているレーダーレンジによる制約 九 海象,気象その他の干渉原因がレーダーによる探知に与える影響 十 適切なレーダーレンジでレーダーを使用する場合においても小型船舶及び氷塊その他の漂流物を探知することができないときがあること。 十一 レーダーにより探知した船舶の数,位置及び動向 十二 自船と付近にある船舶その他の物件との距離をレーダーで測定することにより視界の状態を正確に把握することができる場合があること。 |
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衝突のおそれ 第七条 |
船舶は,他の船舶と衝突するおそれがあるかどうかを判断するため,その時の状況に適したすべての手段を用いなければならない。 2 レーダーを使用している船舶は,他の船舶と衝突するおそれがあることを早期に知るための長距離レーダーレンジによる走査,探知した物件のレーダープロッティングその他の系統的な観察等を行うことにより,当該レーダーを適切に用いなければならない。 3 船舶は,不十分なレーダー情報その他の不十分な情報に基づいて他の船舶と衝突するおそれがあるかどうかを判断してはならない。 4 船舶は,接近してくる他の船舶のコンパス方位に明確な変化が認められない場合は,これと衝突するおそれがあると判断しなければならず,また,接近してくる他の船舶のコンパス方位に明確な変化が認められる場合においても,大型船舶若しくはえい航作業に従事している船舶に接近し,又は近距離で他の船舶に接近するときは,これと衝突するおそれがあり得ることを考慮しなければならない。 5 船舶は,他の船舶と衝突するおそれがあるかどうかを確かめることができない場合は,これと衝突するおそれがあると判断しなければならない。 |
衝突を避けるための動作 第八条 |
船舶は,他の船舶との衝突を避けるための動作をとる場合は,できる限り,十分に余裕のある時期に,船舶の運用上の適切な慣行に従つてためらわずにその動作をとらなければならない。 2 船舶は,他の船舶との衝突を避けるための針路又は速力の変更を行う場合は,できる限り,その変更を他の船舶が容易に認めることができるように大幅に行わなければならない。 3 船舶は,広い水域において針路の変更を行う場合においては,それにより新たに他の船舶に著しく接近することとならず,かつ,それが適切な時期に大幅に行われる限り,針路のみの変更が他の船舶に著しく接近することを避けるための最も有効な動作となる場合があることを考慮しなければならない。 4 船舶は,他の船舶との衝突を避けるための動作をとる場合は,他の船舶との間に安全な距離を保つて通過することができるようにその動作をとらなければならない。この場合において,船舶は,その動作の効果を当該他の船舶が通過して十分に遠ざかるまで慎重に確かめなければならない。 5 船舶は,周囲の状況を判断するため,又は他の船舶との衝突を避けるために必要な場合は,速力を減じ,又は機関の運転を止め,若しくは機関を後進にかけることにより停止しなければならない。 |
狭い水道等 第九条 |
狭い水道又は航路筋(以下「狭い水道等」という。)をこれに沿つて航行する船舶は,安全であり,かつ,実行に適する限り,狭い水道等の右側端に寄つて航行しなければならない。ただし,次条第二項の規定の適用がある場合は,この限りでない。 2 航行中の動力船(漁ろうに従事している船舶を除く。次条第六項及び第十八条第一項において同じ。)は,狭い水道等において帆船の進路を避けなければならない。ただし,この規定は,帆船が狭い水道等の内側でなければ安全に航行することができない動力船の通航を妨げることができることとするものではない。 3 航行中の船舶(漁ろうに従事している船舶を除く。次条第七項において同じ。)は,狭い水道等において漁ろうに従事している船舶の進路を避けなければならない。ただし,この規定は,漁ろうに従事している船舶が狭い水道等の内側を航行している他の船舶の通航を妨げることができることとするものではない。 4 第十三条第二項又は第三項の規定による追越し船は,狭い水道等において,追い越される船舶が自船を安全に通過させるための動作をとらなければこれを追い越すことができない場合は,汽笛信号を行うことにより追越しの意図を示さなければならない。この場合において,当該追い越される船舶は,その意図に同意したときは,汽笛信号を行うことによりそれを示し,かつ,当該追越し船を安全に通過させるための動作をとらなければならない。 5 船舶は,狭い水道等の内側でなければ安全に航行することができない他の船舶の通航を妨げることとなる場合は,当該狭い水道等を横切つてはならない。 6 長さ二十メートル未満の動力船は,狭い水道等の内側でなければ安全に航行することができない他の動力船の通航を妨げてはならない。 7 第二項から前項までの規定は,第四条の規定にかかわらず,互いに他の船舶の視野の内にある船舶について適用する。 8 船舶は,障害物があるため他の船舶を見ることができない狭い水道等のわん曲部その他の水域に接近する場合は,十分に注意して航行しなければならない。 9 船舶は,狭い水道においては,やむを得ない場合を除き,びよう泊をしてはならない。 |
互いに他の船舶の視野の内にある船舶の航法 | |
追越し船 第十三条 |
追越し船は,この法律の他の規定にかかわらず,追い越される船舶を確実に追い越し,かつ,その船舶から十分に遠ざかるまでその船舶の進路を避けなければならない。 2 船舶の正横後二十二度三十分を超える後方の位置(夜間にあつては,その船舶の第二十一条第二項に規定するげん燈のいずれをも見ることができない位置)からその船舶を追い越す船舶は,追越し船とする。 3 船舶は,自船が追越し船であるかどうかを確かめることができない場合は,追越し船であると判断しなければならない。 |
行会い船 第十四条 |
二隻の動力船が真向かい又はほとんど真向かいに行き会う場合において衝突するおそれがあるときは,各動力船は,互いに他の動力船の左げん側を通過することができるようにそれぞれ針路を右に転じなければならない。ただし,第九条第三項,第十条第七項又は第十八条第一項若しくは第三項の規定の適用がある場合は,この限りでない。 2 動力船は,他の動力船を船首方向又はほとんど船首方向に見る場合において,夜間にあつては当該他の動力船の第二十三条第一項第一号の規定によるマスト灯二個を垂直線上若しくはほとんど垂直線上に見るとき,又は両側の同項第二号の規定によるげん灯を見るとき,昼間にあつては当該他の動力船をこれに相当する状態に見るときは,自船が前項に規定する状況にあると判断しなければならない。 3 動力船は,自船が第一項に規定する状況にあるかどうかを確かめることができない場合は,その状況にあると判断しなければならない。 |
横切り船 第十五条 |
二隻の動力船が互いに進路を横切る場合において衝突するおそれがあるときは,他の動力船を右げん側に見る動力船は,当該他の動力船の進路を避けなければならない。この場合において,他の動力船の進路を避けなければならない動力船は,やむを得ない場合を除き,当該他の動力船の船首方向を横切つてはならない。 2 前条第一項ただし書の規定は,前項に規定する二隻の動力船が互いに進路を横切る場合について準用する。 |
避航船 第十六条 |
この法律の規定により他の船舶の進路を避けなければならない船舶(次条において「避航船」という。)は,当該他の船舶から十分に遠ざかるため,できる限り早期に,かつ,大幅に動作をとらなければならない。 |
保持船 第十七条 |
この法律の規定により二隻の船舶のうち一隻の船舶が他の船舶の進路を避けなければならない場合は,当該他の船舶は,その針路及び速力を保たなければならない。 2 前項の規定により針路及び速力を保たなければならない船舶(以下この条において「保持船」という。)は,避航船がこの法律の規定に基づく適切な動作をとつていないことが明らかになつた場合は,同項の規定にかかわらず,直ちに避航船との衝突を避けるための動作をとることができる。この場合において,これらの船舶について第十五条第一項の規定の適用があるときは,保持船は,やむを得ない場合を除き,針路を左に転じてはならない。 3 保持船は,避航船と間近に接近したため,当該避航船の動作のみでは避航船との衝突を避けることができないと認める場合は,第一項の規定にかかわらず,衝突を避けるための最善の協力動作をとらなければならない。 |
各種船舶間の航法 第十八条 |
第九条第二項及び第三項並びに第十条第六項及び第七項に定めるもののほか,航行中の動力船は,次に掲げる船舶の進路を避けなければならない。 一 運転不自由船 二 操縦性能制限船 三 漁ろうに従事している船舶 四 帆船 2 第九条第三項及び第十条第七項に定めるもののほか,航行中の帆船(漁ろうに従事している船舶を除く。)は,次に掲げる船舶の進路を避けなければならない。 一 運転不自由船 二 操縦性能制限船 三 漁ろうに従事している船舶 3 航行中の漁ろうに従事している船舶は,できる限り,次に掲げる船舶の進路を避けなければならない。 一 運転不自由船 二 操縦性能制限船 4 船舶(運転不自由船及び操縦性能制限船を除く。)は,やむを得ない場合を除き,第二十八条の規定による灯火又は形象物を表示している喫水制限船の安全な通航を妨げてはならない。 5 喫水制限船は,十分にその特殊な状態を考慮し,かつ,十分に注意して航行しなければならない。 6 水上航空機等は,できる限り,すべての船舶から十分に遠ざかり,かつ,これらの船舶の通航を妨げないようにしなければならない。 |
視界制限状態における船舶の航法 | |
第十九条 この条の規定は,視界制限状態にある水域又はその付近を航行している船舶(互いに他の船舶の視野の内にあるものを除く。)について適用する。 2 動力船は,視界制限状態においては,機関を直ちに操作することができるようにしておかなければならない。 3 船舶は,第一節の規定による措置を講ずる場合は,その時の状況及び視界制限状態を十分に考慮しなければならない。 4 他の船舶の存在をレーダーのみにより探知した船舶は,当該他の船舶に著しく接近することとなるかどうか又は当該他の船舶と衝突するおそれがあるかどうかを判断しなければならず,また,他の船舶に著しく接近することとなり,又は他の船舶と衝突するおそれがあると判断した場合は,十分に余裕のある時期にこれらの事態を避けるための動作をとらなければならない。 5 前項の規定による動作をとる船舶は,やむを得ない場合を除き,次に掲げる針路の変更を行つてはならない。 一 他の船舶が自船の正横より前方にある場合(当該他の船舶が自船に追い越される船舶である場合を除く。)において,針路を左に転じること。 二 自船の正横又は正横より後方にある他の船舶の方向に針路を転じること。 6 船舶は,他の船舶と衝突するおそれがないと判断した場合を除き,他の船舶が行う第三十五条の規定による音響による信号を自船の正横より前方に聞いた場合又は自船の正横より前方にある他の船舶と著しく接近することを避けることができない場合は,その速力を針路を保つことができる最小限度の速力に減じなければならず,また,必要に応じて停止しなければならない。この場合において,船舶は,衝突の危険がなくなるまでは,十分に注意して航行しなければならない。 |
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灯火及び形象物 | |
第二十条 船舶(船舶に引かれている船舶以外の物件を含む。以下この条において同じ。)は,この法律に定める灯火(以下この項及び次項において「法定灯火」という。)を日没から日出までの間表示しなければならず,また,この間は,次の各号のいずれにも該当する灯火を除き,法定灯火以外の灯火を表示してはならない。 一 法定灯火と誤認されることのない灯火であること。 二 法定灯火の視認又はその特性の識別を妨げることとならない灯火であること。 三 見張りを妨げることとならない灯火であること。 2 法定灯火を備えている船舶は,視界制限状態においては,日出から日没までの間にあつてもこれを表示しなければならず,また,その他必要と認められる場合は,これを表示することができる。 3 船舶は,昼間においてこの法律に定める形象物を表示しなければならない。 4 この法律に定めるもののほか,灯火及び形象物の技術上の基準並びにこれらを表示すべき位置については,国土交通省令で定める。 |
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音響信号及び発光信号 | |
定義 第三十二条 |
この法律において「汽笛」とは,この法律に規定する短音及び長音を発することができる装置をいう。 2 この法律において「短音」とは,約一秒間継続する吹鳴をいう。 3 この法律において「長音」とは,四秒以上六秒以下の時間継続する吹鳴をいう。 |
音響信号設備 第三十三条 |
船舶は,汽笛及び号鐘(長さ百メートル以上の船舶にあつては,汽笛並びに号鐘及びこれと混同しない音調を有するどら)を備えなければならない。ただし,号鐘又はどらは,それぞれこれと同一の音響特性を有し,かつ,この法律の規定による信号を手動により行うことができる他の設備をもつて代えることができる。 2 長さ二十メートル未満の船舶は,前項の号鐘(長さ十二メートル未満の船舶にあつては,同項の汽笛及び号鐘)を備えることを要しない。ただし,これらを備えない場合は,有効な音響による信号を行うことができる他の手段を講じておかなければならない。 3 この法律に定めるもののほか,汽笛,号鐘及びどらの技術上の基準並びに汽笛の位置については,国土交通省令で定める。 |
操船信号及び警告信号 第三十四条 |
航行中の動力船は,互いに他の船舶の視野の内にある場合において,この法律の規定によりその針路を転じ,又はその機関を後進にかけているときは,次の各号に定めるところにより,汽笛信号を行わなければならない。 一 針路を右に転じている場合は,短音を一回鳴らすこと。 二 針路を左に転じている場合は,短音を二回鳴らすこと。 三 機関を後進にかけている場合は,短音を三回鳴らすこと。 2 航行中の動力船は,前項の規定による汽笛信号を行わなければならない場合は,次の各号に定めるところにより,発光信号を行うことができる。この場合において,その動力船は,その発光信号を十秒以上の間隔で反復して行うことができる。 一 針路を右に転じている場合は,せん光を一回発すること。 二 針路を左に転じている場合は,せん光を二回発すること。 三 機関を後進にかけている場合は,せん光を三回発すること。 3 前項のせん光の継続時間及びせん光とせん光との間隔は,約一秒とする。 4 船舶は,互いに他の船舶の視野の内にある場合において,第九条第四項の規定による汽笛信号を行うときは,次の各号に定めるところにより,これを行わなければならない。 一 他の船舶の右げん側を追い越そうとする場合は,長音二回に引き続く短音一回を鳴らすこと。 二 他の船舶の左げん側を追い越そうとする場合は,長音二回に引き続く短音二回を鳴らすこと。 三 他の船舶に追い越されることに同意した場合は,順次に長音一回,短音一回,長音一回及び短音一回を鳴らすこと。 5 互いに他の船舶の視野の内にある船舶が互いに接近する場合において,船舶は,他の船舶の意図若しくは動作を理解することができないとき,又は他の船舶が衝突を避けるために十分な動作をとつていることについて疑いがあるときは,直ちに急速に短音を五回以上鳴らすことにより汽笛信号を行わなければならない。この場合において,その汽笛信号を行う船舶は,急速にせん光を五回以上発することにより発光信号を行うことができる。 6 船舶は,障害物があるため他の船舶を見ることができない狭い水道等のわん曲部その他の水域に接近する場合は,長音一回の汽笛信号を行わなければならない。この場合において,その船舶に接近する他の船舶は,そのわん曲部の付近又は障害物の背後においてその汽笛信号を聞いたときは,長音一回の汽笛信号を行うことによりこれに応答しなければならない。 7 船舶は,二以上の汽笛をそれぞれ百メートルを超える間隔を置いて設置している場合において,第一項又は前三項の規定による汽笛信号を行うときは,これらの汽笛を同時に鳴らしてはならない。 8 第二項及び第五項後段の規定による発光信号に使用する灯火は,五海里以上の視認距離を有する白色の全周灯とし,その技術上の基準及び位置については,国土交通省令で定める。 |
視界制限状態における音響信号 第三十五条 |
視界制限状態にある水域又はその付近における船舶の信号については,次項から第十三項までに定めるところによる。 2 航行中の動力船(第四項又は第五項の規定の適用があるものを除く。次項において同じ。)は対水速力を有する場合は二分を超えない間隔で長音を一回鳴らすことにより汽笛信号を行わなければならない。 3 航行中の動力船は,対水速力を有しない場合は,約二秒の間隔の二回の長音を二分を超えない間隔で鳴らすことにより汽笛信号を行わなければならない。 4 航行中の船舶(帆船,漁ろうに従事している船舶,運転不自由船,操縦性能制限船及び喫水制限船(他の動力船に引かれているものを除く。)並びに他の船舶を引き,及び押している動力船に限る。)は,二分を超えない間隔で,長音一回に引き続く短音二回を鳴らすことにより汽笛信号を行わなければならない。 5 他の動力船に引かれている航行中の船舶(二隻以上ある場合は,最後部のもの)は乗組員がいる場合は二分を超えない間隔で長音一回に引き続く短音三回を鳴らすことにより汽笛信号を行わなければならない。この場合においてその汽笛信号は,できる限り引いている動力船が行う前項の規定による汽笛信号の直後に行わなければならない。 6 びよう泊中の長さ百メートル以上の船舶(第八項の規定の適用があるものを除く。)は,その前部において,一分を超えない間隔で急速に号鐘を約五秒間鳴らし,かつ,その後部において,その直後に急速にどらを約五秒間鳴らさなければならない。この場合において,その船舶は,接近してくる他の船舶に対し自船の位置及び自船との衝突の可能性を警告する必要があるときは,順次に短音一回,長音一回及び短音一回を鳴らすことにより汽笛信号を行うことができる。 7 びよう泊中の長さ百メートル未満の船舶(次項の規定の適用があるものを除く。)は,一分を超えない間隔で急速に号鐘を約五秒間鳴らさなければならない。この場合において,前項後段の規定を準用する。 8 びよう泊中の漁ろうに従事している船舶及び操縦性能制限船は,二分を超えない間隔で,長音一回に引き続く短音二回を鳴らすことにより汽笛信号を行わなければならない。 9 乗り揚げている長さ百メートル以上の船舶は,その前部において,一分を超えない間隔で急速に号鐘を約五秒間鳴らすとともにその直前及び直後に号鐘をそれぞれ三回明確に点打し,かつ,その後部において,その号鐘の最後の点打の直後に急速にどらを約五秒間鳴らさなければならない。この場合において,その船舶は,適切な汽笛信号を行うことができる。 10 乗り揚げている長さ百メートル未満の船舶は,一分を超えない間隔で急速に号鐘を約五秒間鳴らすとともにその直前及び直後に号鐘をそれぞれ三回明確に点打しなければならない。この場合において,前項後段の規定を準用する。 11 長さ十二メートル以上二十メートル未満の船舶は,第七項及び前項の規定による信号を行うことを要しない。ただし,その信号を行わない場合は,二分を超えない間隔で他の手段を講じて有効な音響による信号を行わなければならない。 12 長さ十二メートル未満の船舶は,第二項から第十項まで(第六項及び第九項を除く。)の規定による信号を行うことを要しない。ただし,その信号を行わない場合は,二分を超えない間隔で他の手段を講じて有効な音響による信号を行わなければならない。 13 第二十九条に規定する水先船は,第二項,第三項又は第七項の規定による信号を行う場合は,これらの信号のほか短音四回の汽笛信号を行うことができる。 14 押している動力船と押されている船舶とが結合して一体となつている場合は,これらの船舶を一隻の動力船とみなしてこの章の規定を適用する。 |
遊漁船業者は,利用者に対し,その案内する漁場における水産動植物の採捕に関する制限又は禁止及び漁場の使用に関する制限の内容を周知させなければなりません。
利用者は「余暇を楽しみにきている」のであり,各種の規制に関しては遊漁船業者に全てを委ねていると言っても過言ではありません。
遊漁船業務主任者は安全の確保とともに,利用者にこれらの制限を周知させる義務があります。
これらを怠ると,せっかく余暇を楽しみにきた利用者は,知らず知らずのうちに法令を犯し,責任を問われかねませんし,また,漁業者等にも多大な迷惑をかけることに繋がります。
遊漁船業務主任者はこのような事態を絶対に避けなければなりません。
周知の方法については,利用者に水産動植物を採捕させる前に,その案内する漁場における水産動植物の採捕に関する制限又は禁止及び漁場の使用に関する制限の内容を遊漁船において利用者に見やすいように掲示し,又はその内容を記載した書面を利用者に配布し,その内容を周知させなければなりません。
これは掲示,規制内容を記載した書面の配布いずれでもよいことになっています。それぞれの遊漁船業者で適宜,利用者にとってわかりやすい方法で周知しなければなりません。
漁業法第一条 |
この法律は,漁業生産に関する基本的制度を定め,漁業者及び漁業従事者を主体とする漁業調整機構の運用によつて水面を総合的に利用し,もつて漁業生産力を発展させ,あわせて漁業の民主化を図ることを目的とする |
漁業法第六条 漁業権の定義 | |
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定義 | この法律において「漁業権」とは,定置漁業権,区画漁業権及び共同漁業権をいう。 2 「定置漁業権」とは,定置漁業を営む権利をいい,「区画漁業権」とは,区画漁業を営む権利をいい,「共同漁業権」とは,共同漁業を営む権利をいう。 3 「定置漁業」とは,漁具を定置して営む漁業であつて次に掲げるものをいう。 Ⅰ.身網の設置される場所の最深部が最高潮時において水深27メートル(沖縄県にあつては,15メートル)以上であるもの(瀬戸内海(第110条第2項に規定する瀬戸内海をいう。)におけるます網漁業並びに陸奥湾(青森県焼山崎から同県明神崎灯台に至る直線及び陸岸によつて囲まれた海面をいう。)における落とし網漁業及びます網漁業を除く。) Ⅱ.北海道においてさけを主たる漁獲物とするもの 4 「区画漁業」とは,次に掲げる漁業をいう。 Ⅰ.第1種区画漁業 一定の区域内において石,かわら,竹,木等を敷設して営む養業 Ⅱ.第2種区画漁業 土,石,竹,木等によつて囲まれた一定の区域内において営む養殖業 Ⅲ.第3種区画漁業 一定の区域内において営む養殖業であつて前2号に掲げるもの以外のもの 5 「共同漁業」とは,次に掲げる漁業であつて一定の水面を協同に利用して営むものをいう。 Ⅰ.第1種共同漁業 藻類,貝類又は農林水産大臣の指定する定着性の水産動物を目的とする漁業 Ⅱ.第2種共同漁業 網漁具(えりやな類を含む。)を移動しないように敷設して営む漁業であつて定置漁業及び第5号に掲げるもの以外のもの Ⅲ.第3種共同漁業 地びき網漁業,地こぎ網漁業,船びき網漁業(動力漁船を使用するものを除く。),飼付漁業又はつきいそ漁業(第1号に掲げるものを除く。)であつて,第5号に掲げるもの以外のもの Ⅳ.第4種共同漁業 寄魚漁業又は鳥付こぎ釣漁業であつて,次号に掲げるもの以外のもの Ⅴ.第5種共同漁業 内水面(農林水産大臣の指定する湖沼を除く。)又は農林水産大臣の指定する湖沼に準ずる海面において営む漁業であつて第1号に掲げるもの以外のもの |
漁業の免許 第10条 |
漁業権の設定を受けようとする者は,都道府県知事に申請してその免許を受けなければならない。 |
指定漁業の許可 第52条(抜粋) |
船舶により行なう漁業であつて政令で定めるもの(以下「指定漁業」という。)を営もうとする者は,船舶ごとに(母船式漁業(製造設備,冷蔵設備その他の処理設備を有する母船及びこれと一体となつて当該漁業に従事する独航船その他の農林水産省令で定める船舶(以下「独航船等」という。)により行なう指定漁業をいう。以下同じ。)にあつては,母船及び独航船等ごとにそれぞれ),農林水産大臣の許可を受けなければならない。 |
漁業調整に関する命令 第65条(抜粋) |
農林水産大臣又は都道府県知事は,漁業取締りその他漁業調整のため,特定の種類の水産動植物であつて農林水産省令若しくは規則で定めるものの採捕を目的として営む漁業若しくは特定の漁業の方法であつて農林水産省令若しくは規則で定めるものにより営む漁業(水産動植物の採捕に係るものに限る。)を禁止し,又はこれらの漁業について,農林水産省令若しくは規則で定めるところにより,農林水産大臣若しくは都道府県知事の許可を受けなければならないこととすることができる。 |
瀬戸内海漁業調整規則 | |
瀬戸内海の ルール |
瀬戸内海に限定して,毎年7月1日から9月30日までの間,全長(口の先から,尾鰭の先端まで)12cm以下のマダイを採捕することが禁止されています。 これに違反した場合は,2年以下の懲役若しくは50万円以下の罰金に処せられます。 |
水産資源保護法 | |
目的 第一条 |
この法律は,水産資源の保護培養を図り,且つ,その効果を将来にわたつて維持することにより,漁業の発展に寄与することを目的とする。 |
漁法の制限 第5条 |
爆発物を使用して水産動植物を採捕してはならない。但し,海獣捕獲のためにする場合は,この限りでない。 |
水産動植物をまひさせ,又は死なせる有毒物を使用して,水産動植物を採捕してはならない。但し,農林水産大臣の許可を受けて,調査研究のため,漁業法第百二十七条に規定する内水面において採捕する場合は,この限りでない。 | |
前二条の規定に違反して採捕した水産動植物は,所持し,又は販売してはならない。 | |
保護水面 第14条 |
この法律において「保護水面」とは,水産動物が産卵し,稚魚が生育し,又は水産動植物の種苗が発生するのに適している水面であつて,その保護培養のために必要な措置を講ずべき水面として都道府県知事又は農林水産大臣が指定する区域をいう。 |
都道府県(海面)漁業調整規則 | |
漁業法65条 第2項 |
漁業法及び水産資源保護法に基づき都道府県ごとに定められており,当該都道府県の管轄する海面等で水産動植物を採捕する漁業者や遊漁者などに適用されるルールになります。漁具・漁法,採捕禁止区域,魚種ごとの採捕禁止期間,体長制限等の様々な規制が定められていますが,都道府県によって内容が異なりますので注意が必要です (違反した場合には,懲役・罰金等の罰則が適用があります) |
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